小江戸温泉物語② そこに君はいた。俺もそこにいる。ただそれだけの事なのに何でこんなに、暖かいんだから~ feat by イモムシ
「ゑ?」
僕は彼女の紅潮した頬を見て、50%の愛おしさと、50%の驚きの入り混じった感情を自分の中で整理できずにいた。
「2回も言わせないでよ・・・ひ、ひざまづいて『好きにして下さい』って言うだけでしょ!出来るの?!出来ないの?!」
「や、やります!出来ましゅ!」
この状況を整理できない僕はもう従うしかなかった。同時に、僕の中の何かが目覚めようとしていた・・・
「ほんと・・・素直な良い子なんだから・・・」
彼女は腰をかがめ、僕の顎をさすり、そうつぶやいた。
俺は銭湯に来ていた。
(前回のお話)
俺にとっては当たり前すぎる光景だった。
神々しくオイリーに輝く(汗のこと。カニさん走りしてたからね。)妖艶な俺のボディを見つめた番台さんは、その内に秘めたドSソウルを俺にぶつけてきたのだ。
(ちなみに初対面だ。)
「ねぇ…分かってるんでしょ…」
彼女は本来の仕事をほっぽりだし、目の前の刹那の快楽を得ようとしている。
彼女の豊満な果実が俺の身体に触れる…
「いや、他の人もいるし、まずいよ…」
「久しぶりに若いコが来てくれたんだよ?ねぇ…私じゃダメかな?」
「40 円」
「え?」
「おつりですよ。40円。」
俺はパンツから入湯料の500円玉を抜き取り、そう言った。
「なんだ…そうよね…ゆっくりして下さ…?!」
肩を落とした彼女を見かね、彼女の身体をたぐり寄せ耳元でささやいた。
「ごめんね。君のスマイルは500円だよ。」
俺は両手を胸に添えた状態で、のれんを掻き分けた。
「ちょっと待って!」
俺は、のれん越しの彼女の存在を確かめるように、右乳首を摘まんでいた左手で彼女に触れた。
「…ロッカーの鍵ないとダメでしょ…」
鍵を渡すというより、手を握るのが目的では?と思ってしまうほどに、彼女は強く俺の…
俺はその手を優しくほどいた。
「俺には、何も閉じ込めておくものはない。大事なものを隠そうとするために、他の大事なものも閉まっておく必要はない…世界はいつだって拓けているんだ!!!」
そう言い残し、俺はスイッ乳首を2回プッシュし、パンツを爆発させた。
「そんな…まだここは脱衣所じゃないのに!」
俺は、彼女が照れながらも、視線を落としていたことに気づいていた。
「また会えるよ…今度は綺麗なままでね。」
(画像はイメージだ。念のためな。640×480)
「早っ」
そんな声が聴こえてきそうだった。今の俺は全裸で手ブラだ。何の躊躇もなくのれんをくぐり、open the door。
脱衣所に入る前から全裸の人に会ったことはあるだろうか?いや、ない。
だがそれが俺だ。
我脱ぐ、故に我ありなのだ。
人は…自分のありのままを探し続けている…本当の自分とは?自分らしさとは?
愚問だ。
…人は生まれながらにしてありのままなのだ…何も着飾る必要はない。
全てを脱ぎ捨ててしまえ。
どうということはない。
捕まるだけだ。
浴場という新たな世界への扉に手をかける。
この瞬間は本当に…いつまで経っても慣れない…我ながら情けなくなる。
新しい世界はいつだって蜃気楼のように揺らめき、その実体を掴ませない。
まるで荒野に咲いたアゲハチョウのようだ。オアシスに近づくことはできない。
銭湯も同じだ。
決して湯気で浴場が見えないからではない。
そして、扉を押す…
開かない。
「引くんだよ。兄ちゃん。」
後ろからメタボの神に愛されたようなおじさんが、声をかけた。
残念ながら、髪の神には愛されなかったようだ。
「押してダメなら引いてみろ!!」
俺は全身の両乳首から解き放たれた純白なるエネルギーを放出し、最後の一撃を繰り出した。
扉はスライド式だった。
つづく・・・
【編集後期】
これが俺だよ。